映画『サウナのあるところ』9月14日公開

サウナ好き、フィンランド好きの間で静かなウワサになっている映画『サウナのあるところ』の試写会に行ってきました。

当初は(フィンランドの面白いサウナでも紹介するのかな…)程度の軽い気持ちでいたのですが、予想をはるかに超え、静かに心が揺さぶられる珠玉の小品でした。

登場人物であるフィンランドの寡黙な男たちは、みなそれぞれに色々な問題や困難を抱えています。
家族、貧困、犯罪、障害、老い、孤独など。それらは、国を問わず、性別を問わず、生きていれば誰もが直面する、普遍的な人生の悩みや苦しみにも通じる部分があります。

そのような悩みや苦しみに、歯を食いしばって必死に耐えている男たちが、サウナの中では涙を見せ、押しとどめていた感情を吐露します。とつとつと語られる彼らの人生に引き込まれていくうちに、いつしか、長年の親友に心の悩みを打ち明けられたような親密さを、画面に映る男たちに覚えていることに気づかされます。

彼らと悩みを共有し、彼らの人生に寄り添うことは、観る者自身が自らの人生を振り返り、取り残されたままの悲しみや苦しみをすくい上げることにもつながります。

フィンランドの美しい自然、抑制の効いたカメラワーク、背景に流れる静かな音楽。夏の終わり、彼の地に生きる男たちの生き様をありのままに描き出す、監督の真摯で優しいまなざしに触れてみてはいかがでしょうか。

『サウナのあるところ』
2010年/フィンランド/フィンランド語/ドキュメンタリー/81分/原題:Miesten vuoro /英題:Steam of Life
監督:ヨーナス・バリヘル、ミカ・ホタカイネン
後援:フィンランド大使館、公益社団法人 日本サウナ・スパ協会
提供・配給:アップリンク+ kinologue ©2010 Oktober Oy.

 

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